朗読と195。『朗読 原爆詩集』稽古場日誌

稽古場風景 (1)



そこには白く鮮烈な緊張感があった。

PM5:45
都営大江戸線の牛込柳町の駅を降り地上に出た私は、経王寺に向かう前にすぐ近くのコンビニエンスストアに立ち寄った。

経王寺は地上に出てすぐ見える。
稽古がはじまるまでまだ時間がある。
私は珈琲を買い、少し呼吸を整えてから、経王寺に向かった。

idenshi195の稽古場は集中力と瞬発力が必要とされる。
いや、それはどんな現場であってもそうなのだが、ここでは特に鋭く強烈なエネルギーが求められる。俳優にとって逃げ場所がない、と言えば分かってもらえるだろうか。
蜷川幸雄は演出をする際、俳優の生理を理解した上で逃げ場をなくす方法とし、稽古場に実寸の装置、小道具、音楽、衣装全てを用意し稽古初日を迎えたという(全ての公演がそうではなかったと思うが、そういう噂は有名な話だ)。
すると俳優は初日までに台詞を覚えてこざるを得なくなるのだ。
誤魔化す術や方法が、逃げ場がないからである。(言い訳させない、ということだ。ここには初めて〇〇に挑戦する、やキャリアの問題など関係なくなる)
稽古場で、演出の眼の前で「演技」を「表現」を披露するしかなくなる。
俳優の力量が曝け出される。
丸腰で挑めば裸にされてしまうし、剥き出しの俳優力とでも呼ぶべきものを求められることになるのだ。


195の稽古場はどうだろう。



こちらは朗読劇だ。


装置もないし衣装も素朴。


俳優は皆、台本を手に、稽古も本番も行う。

私はこのやり方は、逆説的に俳優から逃げ場をなくす方法だと思う。
結果だけ見れば、蜷川幸雄と同じやり方を取っている。


ただ、やるのみ、やらなければそこまで。


シビアな世界だが、それ故に緊張感と集中力が高まり、凛とした空間となる。


稽古場風景 (3)


今回の出演者は全部で14名。
語り手だけなら13名。
キャリアも年齢も様々だ。
だが総じて若い俳優が多い。


俳優に求められるのは、声や音に対する鋭敏な感覚と、朗読には欠かせない皮膚感覚。
そして空間を捉えるための第六感と、全感覚を総動員して、語りの表現が求められる。


ただ読めばいいわけではない。

文字情報を投げればいいわけではない。

イメージの世界を、音を媒介にして伝えていくのだ。


高度な技術や集中力を若手に求め、果たして普段の195クオリティが達成されるのだろうか?



idenshi195は劇団ではなく、主宰である高橋郁子さんの理念のもとに、様々な人材が集まり創作を行う場所だ。
アニメ脚本家であり、作・演出を行う高橋郁子さん
声優であり、195では演出補として技術面で俳優たちをフォローする山下亜矢香さん。
この二人が創作の中心を担いつつ、他にも制作陣に保坂藍さん、小島久弥子さん。
前回の稽古場日誌を書かれた梅屋サムさんと、様々な人が参加しカンパニーを支えている。


私は今回、プロデュース協力というポジションで参加している。
具体的な仕事としてはデザインや宣伝美術に関連したものが主だ。
視覚化しにくい195の世界を、見て分かりやすくなるように意識して、協力している。
原爆詩集_7320

私自身の活動の根幹にある朗読観に「朗読は台詞と同じ。台詞を扱う俳優にとっての生涯の伴侶たるべきもの」というものがあって、なるべく多くの俳優に朗読に触れてもらいたいと考えている。
普段の私の活動や月光密造舎での催事を御存知の方には、なんとなく理解していただけるのではないだろうか?
カジュアルな朗読として、普段は様々な題材を入口に広く取り扱っている。
高橋さんとはそういった部分で、手段は違うものの共鳴するものがあり、協力させていただいている。
195の提唱する「言葉の楽譜」は朗読技術として高度であり、同時に普遍的な要素を持っている。
決してカジュアルではないこの優れた技術を通じて、若手俳優たちが爆発的に上手くなってくれたらいいなと思っている。
そしてその後も自身の活動の中に朗読という選択肢を持ってもらえればなと願うわけだ。

稽古場風景 (2)


言葉とは、生涯の友人である。
書は、常に傍にあるものである。
朗読とは、その言葉を・・・声で、身体を通して音声化し、額面に込められた豊かさを、音で味わう行為である。
だれにでも開かれて、だれにでも出来ることに、創造的想像力を用いて飛躍させた世界を視せて伝えることが、表現としての朗読の醍醐味では無いだろうか。


本番まであと数日。

是非、この機会に、格別な朗読体験をしていただきたいと思う。
今日も稽古が続く。
若き語り手たちの飛躍は日毎高まっていくばかり。


倉垣吉宏

舞台芸術創造機関SAIの主宰。
演出、劇作、俳優として活動する一方で、古典作品を中心にした朗読の企画公演、カフェ/バーイベント等を企画。
現在は3月に開催される栃木県宇都宮市文化会館の公演「うつのみや春の演劇フェスティバル」の稽古中。
栃木の俳優を中心にし、SAIの近年の代表作「イト」を上演。
■公式サイト→http://stageguide.kuragaki-sai.com/guide/stage/it2017/

峠三吉生誕100年 平和祈念特別公演
朗読 原爆詩集

原作:峠三吉
脚本・演出:高橋郁子

原爆詩集_7320


【日時】
2017年
02月17日(金) 19:30※追加公演
02月18日(土)14:00/18:00※予定枚数終了
開場と受付は開演の30分前より開始。

【会場】
新宿 経王寺
〒162-0053 新宿区原町1-14
(大江戸線 牛込柳町駅より徒歩1分)
http://www.kyoouji.gr.jp/about/access.html

【料金】
前売3,000円/当日3,500円(全席自由)

【チケット取扱い】
■カンフェティ
セブンイレブン発券/支払
電話予約:0120-240-540(平日10:00〜18:00)
http://www.confetti-web.com/detail.php?tid=37826&
■カルテットオンライン
チケット予約/当日精算
https://www.quartet-online.net/ticket/idenshi195-03
【お問合せ】
idenshi195制作部
E-mail:info★idenshi195.com(★→@に変更してください)
TEL:080-5090-0195(留守番電話になる場合もあります)
公式サイト http://idenshi195.com
スポンサーサイト

『朗読 原爆詩集』稽古場日誌

稽古風景_170201_0009

初めまして、スタッフの梅屋サムです。
本日、稽古5回目にして初参加させていただきました。
しかも、idenshi195の稽古自体も初めて・・・緊張しながら稽古場の扉を開きました。

今日は主に演出補の山下さんによる専門的な発声の稽古。
じっくりじっくり根気よく指導されていたのですが、俳優の皆さんの声が、徐々に徐々に『 届く声』に変わっていくのが聞いていて本当に楽しかったです。
身体って面白い!
目からウロコの3時間でした。

稽古風景_170201_0010

稽古写真_170208_0006

そして、今日の稽古で1番印象的だったのが、空気が張り詰める中で、
美斉津さんが第一声を発する前に入り込んでいる表情と、その第一声でした。
ぞくぞくするような空気をまとっていらっしゃり、息が出来なかった・・・。
ここはヒロシマなのだと、静かに確かにそこに居られました。


この物語はどこへ行くのだろう、見届けたい。それを感じられる時間をもらいました。
本番までどう変わっていくのか、そして本番が待ち遠しいです。


梅屋サム

演劇集団ふらっと 演出部責任者
2005年よ7年間演劇プロモーターの会社に勤務。
2011年広島市西区公民館主催事業「被爆電車公演 井上ひさし脚本『朗読劇 少年口伝隊一九四五』」で演出デビュー。
2014年演劇集団ふらっとの立ち上げメンバーとして劇団に参加。
劇団の脚本・演出・構成・イベント企画を行う。
また他団体の制作、舞台監督、演出としても活動中。
演劇と朗読を融合する演出家として今後が期待されている。
◎演劇集団ふらっと→http://ameblo.jp/readingteam-flat/


峠三吉生誕100年 平和祈念特別公演
朗読 原爆詩集

原作:峠三吉
脚本・演出:高橋郁子

原爆詩集_7320


【日時】
2017年
02月17日(金) 19:30※追加公演
02月18日(土)14:00/18:00※予定枚数終了
開場と受付は開演の30分前より開始。

【会場】
新宿 経王寺
〒162-0053 新宿区原町1-14
(大江戸線 牛込柳町駅より徒歩1分)
http://www.kyoouji.gr.jp/about/access.html

【料金】
前売3,000円/当日3,500円(全席自由)

【チケット取扱い】
■カンフェティ
セブンイレブン発券/支払
電話予約:0120-240-540(平日10:00〜18:00)
http://www.confetti-web.com/detail.php?tid=37826&
■カルテットオンライン
チケット予約/当日精算
https://www.quartet-online.net/ticket/idenshi195-03
【お問合せ】
idenshi195制作部
E-mail:info★idenshi195.com(★→@に変更してください)
TEL:080-5090-0195(留守番電話になる場合もあります)
公式サイト http://idenshi195.com

第4回稽古場レポ

こんにちは!staff小島です。
ついに公演まで2日となりました。
ご予約はお済みですか?
お済みでない方は→こちら←からどうぞ!

はてさて、昨日Twitterでstaff黒子が稽古の様子を呟いておりました。
本日はその呟きに私も呟き返しながらご紹介したいと思います。

稽古場の風景①:役者に「気をとばしてください」「空間を自分のものにしてください」と平気で言う演出家。

【これを聞いた時の私の心】
「言いたいことはわかりますけれどもしかし……」
【ダメ出し後の役者の稽古を見た私の心】
「できてるΣ(・□・;)」

稽古場の風景②:一音に「匂い」「色」「温度」「カメラワーク」を要求され、瞬時に応えてしまう女優ふたり。

これは、高橋さんが映像の脚本のお仕事をされているからこその演出なのかな、なんて思ったりしております。
どれだけ頭の中にリアルな映像を作れるか、ということなのですが、どこか、文学の読解の仕方にも似ているように感じることがあります。

稽古場の風景③:言葉の重奏づくりは臨機応変に。役者の呼吸・感性によって、一音の位置を変えテイク。すべては、より情景が「見える」ように。
「変えテイク」って……。面白いからそのままにしておきます。


「言葉の楽譜」と呼ばれていますし、チューニングというか、ピッチ合わせみたいな稽古も多いのですが、その瞬間その瞬間の空気や心で表現が変わって行きます。
きっとお客さまが入ったらまた変わるのでしょうし、その日その瞬間のお客さまの空気でも変わるのでしょう。
なので、何回も観るのもオススメです。(ただし今回は2回公演です)

稽古場の風景④:「場がつかめたら始めてください」という演出は、第1回公演『潮騒の祈り』の稽古でも見ました。段取りではなく役者の感覚を信じる流儀。

役者が場をつかんで息を吸った瞬間、救急車が通ることもあります。
ちなみに会場がお寺なので本番も起きる可能性があります。
お客さまは役者の空気を信じて待っていてくだされば幸いです。

稽古場の風景⑤:演出が聴き手の耳にどう届けたいかを提示し、演出捕が具体的な技法を提示する。

役の感情ができていても、それを表現できなければ何の意味もないわけです。
その技術を演出補の山下さんは惜しみなく提供してくださいます。
毎日目から鱗です。

このように毎日稽古が積み重ねられております。
一瞬一瞬進化していっております。
役者のお二人、演出部のお二人、音響の坂本さんには、いい意味で最後まで欲深くあって欲しいと思っておりますよ!

ではでは今日はこの辺で。

---------------------------
idenshi195第二回公演「やわらかな鎖」
詳細は→こちら
ご予約フォームは→こちら

次回の更新もお楽しみに!

(staff小島)

第3回稽古場レポ

こんばんは!staff小島です。

あっという間に11月ですね。
本番まで2週間を切っていますよ!
みなさまご予約はお済みですか?
お席に限りがございますので、どうぞお早目に!
ご予約がまだのあなたは→こちら←からどうぞ!

はてさて、我々の準備も日々進んでおります。
先日は美術のホンマさんが稽古にいらっしゃいました。
何やら、大きな機械を運んだり、裁縫箱を出したり、カッターで紙を切ったり、ワイヤーをグイグイ曲げたりしておりました。
一体どんな美術が出来上がるのでしょうか……!?
今回、お寺の本堂での公演ということで、もともと場の空気というか、雰囲気というかは存在している場所です。
その空気とホンマさんの美術、そして役者の芝居によって、どんな空間が出来上がるのか……。
ぜひ、会場で味わってくださいませ。
ホンマさんのホームページは→こちら

そして稽古ですが、こちらも日進月歩、進んでおります。
稽古の雰囲気をどうお伝えすればいいのか、すごく悩んだのですが、イメージとしましては
針の穴に糸を通す作業を100本続ける
みたいな感じです。
あくまでイメージです。
本当に針の穴に糸は通しておりません。
一つの言葉適切な表現を探して行く作業が、それくらい慎重に、そして丁寧に重ねられております。
そして、演出部のお二人も、役者のお二人もものすごいエネルギーを使っているものですから、見ているだけの私が、気を抜くと脳が飛んで行ってしまうのではないかと思うことがあります。
なんて書きますと、なんだかすごいことをしているのでは?と、お思いになるかもしれませんね。
やっていることは、役者がやってみて、ダメ出しをして、もう一回やってみる、という普通の稽古と同じなんですけれどもね。
最近はなんだか、ダイヤモンドの研磨みたいだな、などと思い始めました。
ダイヤモンドって硬いので、加工が大変じゃないですか。
でも、仕上がった後は美しく輝く。
そんなイメージで稽古を見ている今日この頃です。

結局どんな稽古をしているの……?
と気になったそこのあなた。
稽古はお見せできませんが、稽古の成果をぜひご覧ください。
きっと、それはそれはきれいなダイヤモンドに仕上がっていることでしょうから。

---------------------------
idenshi195第二回公演「やわらかな鎖」
詳細は→こちら
ご予約フォームは→こちら

次回の更新もお楽しみに!

(staff小島)

第2回稽古場レポ

こんばんは。

秋花粉にやられていますSTAFF保坂です。
(おかげで稽古場で読み合わせ中にくしゃみを我慢するのに必死…!)

朝・晩は随分と冷え込んでまいりました。
皆様も体調など崩されませんよう、お気をつけくださいませ。



さて!第2回稽古場レポ。

第2回の稽古は、演出補山下亜矢香さんによる加藤美佐さんの抜き稽古からスタートしました。

「抜き稽古」とは、一部のキャストのみで作品の一部分のお稽古をすることです。
加藤さんは高橋作品初参加のため、「idenshi195流」の語りを体得するためのお稽古です。

idenshi195作品の一番の特長は、「生・ライブで上演される朗読」のために、脚本が書かれているということ。
実際に会場で、同じ空間にいる観客の方々の中に画が浮かぶ表現が求められるのです。
作品を観たお客様から「俳優さんが目の前にいて読んでいるはずなのに、聞いてると不思議と別のイメージ画が見えてくるんです。」
という感想をいただくことが多いのですが、そのための脚本・表現方法を追求しているからなのですね。

具体的なお稽古方法は伏せますが(後日、特集する…かも?)
保坂も目を閉じてずっと稽古場で聞いておりました。すると、あら不思議。
次第に高橋作品独特の、イメージが浮かんでいく響きになっていきました。
(ちなみに、私いつも不思議に思うのですが、高橋さんの朗読を聞いたときに「見える映像」って、映画みたいに他の人と同じ画だったりするんです。角度とか色とか!びっくり効果…。)

その後、響きの修正のためのボイストレーニングをみんなで行い、
さらに盛り上がってきたところで、演出の高橋さんにバトンタッチ。

こもだまりさん、音響の坂本さんも合流し稽古場はさらに華やかに^^
idenshi195は作品の特性上、女性がほとんどの座組ですので、休憩中のお菓子コーナーが
本当に盛り上がるのです!(後日特集予定!)



稽古後には、音響打ち合わせも行われました。
idenshi195はこれまで、生演奏とのコラボレーションを行ってきたので、
PAさんによる音と語りを合わせるのは初めての試みですが、
そこは無問題!

大事なのは、語り&世界観との相性。
語りを助け、想像力をかきたて、イメージの世界にいざなってくれるご提案をたくさんいただきました。
実際に語りと音が合わさる日がとても楽しみです!!

みなさまも、楽しみにしていてくださいね。


今日の稽古場風景
2015102819572282c.jpg


こもださんの「防水首かけiPhoneケース」(なんとケースに入れたままタッチ操作可能!)
を操作する加藤さん^^

*****+++++*****


チケットは絶賛発売中です。

ご予約は→こちら
(予約フォームに飛べます)


では、次回の更新もお楽しみに^^


(STAFF保坂)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。